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縄文文化の普及にかける佐藤さんの想い

「縄文時代は、私たちの心の原点です。」 静かな口調ながら、強いまなざしでそう語るのは、「縄文検定」の創設者・佐藤健一さん(仮名・52歳)だ。 佐藤さんがこの検定を立ち上げた背景には、一人の考古学好きとして、そして日本文化の担い手としての強い使命感があった。

縄文との出会い

佐藤さんが縄文文化に心を奪われたのは、小学校の遠足で訪れた青森・三内丸山遺跡だった。 竪穴式住居の中に一歩足を踏み入れた瞬間、今から何千年も前の人々の暮らしが、突然リアルに感じられたという。

「縄文人って、意外なほど豊かで創造的な生活をしていたんですよね。 自然と共に生きていたその姿に、現代の私たちが学べることはたくさんあると思ったんです」 その後、大学では考古学を専攻。卒業後は出版社で働きながらも、週末には全国の縄文遺跡を巡る日々を送った。

縄文検定イメージ

“見える化”された縄文文化

「縄文文化は、日本人の心の根っこにあるものなのに、学ぶ機会が少ないのが現状です」 そう語る佐藤さんは、縄文時代について楽しく体系的に学べる「縄文検定」を2020年に創設した。

検定は初級・中級・上級の3段階構成で、縄文時代の生活様式や信仰、遺跡、出土品など幅広い知識を問う内容だ。 受験者は学生からシニアまで幅広く、「親子で挑戦できる知識検定」としても支持を集めている。

縄文検定イメージ

今を生きる私たちに、縄文からのヒント

「縄文人は争わず、自然と調和して暮らしていました。高度な技術も芸術も持っていた。 それは“原始的”というより、むしろ“先進的”だったと思うんです」

佐藤さんは、縄文文化を学ぶことで、持続可能な暮らしや多様性の尊重といった現代社会が直面する課題にも向き合えると考えている。 現在は、教育機関との連携や地方自治体との協働も進行中で、子ども向けの縄文体験プログラムの開発や、国際シンポジウムの開催も視野に入れている。

縄文検定イメージ
「縄文検定が、人と人、人と自然をつなぐきっかけになれば嬉しいです。 縄文の心は、私たちの中に生きていますから」

── 佐藤 健一さん