検定団体のリスクマネジメント
1.天気と検定試験の関係
天気予報もなかなか当たらないような日々が続いている。突然のゲリラ豪雨などが全国的に見受けられるようになり、各方面にさまざまな影響を与えている。気温や湿度などはその日のスーパーでの商品の売れ行きに影響するし、天気のいい・悪いは行楽地で客商売をする者にとっては最大関心事の1つである。
資格・検定試験の実施についてみれば、天候が与える影響は少ないといわれている。学校の授業や会社の業務と同様に、天気が悪いからといって、せっかく一生懸命に勉強してきた試験を「受験しに来ない」という人は少ない。また、たとえそうであったとしてもそれは単なる「自己都合による不受験」となり、試験実施団体は受験料の返還などには基本的に応じないからである。
ただし、試験当日に試験が実施できないほど天気が悪い場合には話が別になる。こういった場合のためのリスクマネジメントが試験実施団体に求められるといえる。
2.天気とリスクマネジメント
沖縄県内で夏・秋に実施される公務員採用試験では最初からこういった対策がなされている。試験は例年9月の第3日曜日(今年は今月18日)に行われるが、台風シーズンと重なるために、あらかじめ中止の場合の代替日を定めて、当日受験生が取るべき対応を受験要項に詳細に記載している。過去に痛い目にあったことがあるのかどうかは不明であるが、離島などからわざわざ受験しに来る人もいることを踏まえ、試験を実施するかしないかを公平に判断しているのである。天気という偶然の事象を理由に、一年に1回の採用試験が受けられないことは大変な問題となってしまうからである。
資格・検定試験においても、台風対策は必要であろう。また、警報が発令された場合や公共交通機関がマヒした場合の試験の遅刻・欠席などの対応も考えなければならない。特に、試験会場が東京などの大都市のみであり、かつ地方から出てくる受験生が多いような試験ではなおさらである。
さらに、今年度の上半期の試験を見てみると、試験中に地震が起きた場合のマニュアルを詳細に準備しているものがいくつか見受けられた。本当に避難しなければならないようなことが生じた場合に、実施している試験の有効性はどのように判断するのか、試験時間の延長はするのかどうか、試験の公正さを担保するためにあらゆることを想定して準備がなされたのである。今でも余震が続いている東日本のことを考えれば、全国規模で実施している試験についてはこういった対策が今後は不可欠といえる。
3.リスクマネジメントが検定の信頼につながる
人間の手で自然を自由にコントロールすることができない以上、さまざまな場合を想定して、準備をしていくことは重要である。また、予期しない状況が発生した場合において、誰がいつどのような最終判断を下すのかという点も事前にはっきりしておかなければならない。この点については、検定事業者の実施する試験という業務は、他の民間企業が自社の顧客に対して実施しているサービスと何ら変わることはない。こういった準備も、検定試験に対する社会の信頼につながるのだから・・・。
1972年生まれ。東京大学卒。株式会社クイック教育システムズ代表取締役。文部科学省「検定試験の在り方に関する有識者会議」委員。自身でこれまでに合格してきた資格・検定試験が500種類。受験生、企業に対し、資格・検定取得のメリットを説きつつ、資格による人物評価の妥当性検証と、資格・検定試験の普及活動を行っている。
著書に『すごい検定258』(テクスト)、『60日で取れるとっておき資格』(洋泉社)ほか。
公式サイト 「資格王」中村一樹の合格の扉ブログ









