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検定試験では八百長禁止

1.「試験」とは何か?
小さなころから大人になってまで、日本人は試験というものに絶えず振り回されている。ところで、皆さんはそもそも「試験」とはどういうものか、考えてみたことはないだろうか?
まず「試験」という漢字を考えてみましょう。実は双方の字とも訓読みでは「ためす」と読むのである。つまり、古くから何か一定のことを試す場合に「試験」という言葉が用いられてきたのである。

2.「試験」では何を試しているのか?
このように考えると、次の疑問が沸いてくる。「試験」では何を試そうとしているのだろうか?
私が思うに、試験というのは、本来すべて「適性検査」としての性質を有している。その試験の合格者として必要とされる「知識」や「技能」を試すほか、その試験の合格者としてふさわしいだけの人柄かどうかも見ようとしていると考えている。
たとえば、会社の入社試験を例にとってみよう。近年、入社試験は、一般常識と当該業界・企業に関する知識を問う「筆記試験」と、受験者の人間性をみる「面接試験」からなる場合が多い。後者が企業への「適性」をも試す試験であることは容易に想像できるが、前者にも同様な性質があることも知っておく必要がある。つまり、どのような問題を出題してもいいという筆記試験の中で、自社への適性が判断できない問題を出題するはずがない。
具体例として、「弊社の代表取締役の氏名をフルネームで書きなさい」というような問題を出題する企業が少なくないが、これはその会社を本命視している人であれば必ず答えられるであろう問題といえる。単なる併願先の人と、真剣にこの会社に入りたいと思う人を選別するための出題であることがうかがえるのである。
企業は自分の会社の既存の人間と同じような能力(またはその潜在的可能性)を持ち、同じような考え方や価値観をもつ人間に入社してほしいわけだから、そういった人たちを選抜するために、ふさわしい問題を出題する傾向にある。筆記試験が、その後の面接試験を受けるための選抜試験としての意味を有する現代の就職戦線においても、こういった傾向が顕著になってきているといえる。

3.検定試験で試そうとしているもの
漢字検定や歴史検定のように、一見単純に知識の有無を試していると思えるような試験であっても、上記と同じことがいえよう。こういった試験では、本試験前に幅広く準備してきた人が合格でき、そうでない人は合格しにくいように、さまざまな分野から広く問題が出題される。別の言い方をすれば、全分野を広く学習してきたことを前提に、自分が興味を抱いている分野について幅広い視点から取り組むことのできる人を合格させるための選抜が行われている。検定試験の問題づくりも奥が深いといえる。
受験する側も出題には期待している。何点取れたかという結果だけではなく、自分の学習してきた成果が試せるような出題であるかといった点も、関心事となっている。そうでなければ、その検定に合格しても社会から評価が受けられないからである。
ところが、中にはそうではないと批判される検定試験も存在する。ここで具体的な検定名を出すことは差し控えるが、①公式テキストで学習していた内容とかけ離れた出題となっているため、学習成果が試せなくなっているものや、②公式テキストや問題集の記述がそっくりそのまま試験に100%出題されているために、「テキストを暗記できたかどうかを試す検定試験」になっているものなどがその具体例である。こういった検定が学校や企業、そして社会全体から高い評価を受けるだろうか。
検定試験は「八百長」であってはならない。試験は「ガチンコ」であり、しかもそのガチンコの根拠が社会に示されていて初めて評価されるものである。どのようにして問題を作成しているのか、合格者にはどのような社会的評価が与えられるかを的確に示すことが、検定試験に対する社会からの信頼につながることになる。

4.まとめ
このように、試験では「合格者としての適性」が試されている。「単純な知識を問う問題の中で、はたして適性が試せるのかどうか」という疑問をもつ人もいるだろうが、これはそれほど難しいことではない。たとえ、題材が数学や社会であっても、ある選択肢を選んだ人は、こんな性格の持ち主だということぐらいは、簡単な心理テストで試すことができるのである。
私もこの点を考慮して、その試験に対してどのような勉強が適しているのか、またある問題においてどちらの選択肢が正解であるのかを考える際に、「合格者として必ず知っておかなければならない知識は何か」ということを考えるようにしている。正解に達するうえでかなり大きなヒントを得ることができる場合も少なくない。検定試験には、こういったことも踏まえた高度な出題、そして合格者と不合格者の的確な選別がなされることを今後とも期待したい。
 

1972年生まれ。東京大学卒。株式会社クイック教育システムズ代表取締役。文部科学省「検定試験の在り方に関する有識者会議」委員。自身でこれまでに合格してきた資格・検定試験が500種類。受験生、企業に対し、資格・検定取得のメリットを説きつつ、資格による人物評価の妥当性検証と、資格・検定試験の普及活動を行っている。
著書に『すごい検定258』(テクスト)、『60日で取れるとっておき資格』(洋泉社)ほか。
公式サイト 「資格王」中村一樹の合格の扉ブログ

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